私たち、幸せに離婚しましょう~クールな脳外科医の激愛は契約妻を逃がさない~


 守るものが大きければ大きいほど、強い力が必要なのはわかる。

 今の薄羽は昔のような小さな診療所ではない。安定した経営をしていくためには大きな支えとなる力が必要だ。でも――。

(その力が純粋なものであってほしいと願うのは、私の考えが甘いのかな)

 現実と理想の狭間で心が揺れる。
 わかっているのは、今の自分にはなんの力もないということだけ。

「沙月さん、主真先生と薄羽を守ってください。それまでは私も必死でがんばりますから」

 事務長の励ましはうれしいが、あと一年あまりで離婚するんですとは、とても言えなかった。

 それでもやるしかない。

 力はなくとも、できることがなにもないわけじゃないのだから。