『財産もなければ、医師でも看護師でもなく、薄羽にとってなんの足しにもならない嫁だった』
思い出すと今でも胸が塞ぐ。
「あのとき薄羽は財力が必要でした。それで、半ば強引に今の奥様との再婚を押し付けたんです。ご実家の援助は確かに大きかったと思います。多額の持参金があったと先代から聞きました。ほかにも高額な医療機器を格安で仕入れたり」
やはり本当だったのだ。薄羽にとって華子の存在は大きいのである。
沙月の口からそっと溜め息が漏れる。
「ですが、あれから十年。理事長は必死に働き、今の薄羽を築き上げたのです」
「それなら、今の経営不振はどうして?」
「それこそが奥様のせいなんです」
華子の実家が経営する商社は、華子の父親から今の経営者に代替わりをして、経営不振に陥っているという。
「以前のように安価の仕入れではなく、むしろほかのどこよりも高い価格で医療機器を購入する羽目になったんですよ」
これまでの恩があるからと、沙月の父はそれを受け入れた。
そして、無理がたたって倒れたのだ。
思い出すと今でも胸が塞ぐ。
「あのとき薄羽は財力が必要でした。それで、半ば強引に今の奥様との再婚を押し付けたんです。ご実家の援助は確かに大きかったと思います。多額の持参金があったと先代から聞きました。ほかにも高額な医療機器を格安で仕入れたり」
やはり本当だったのだ。薄羽にとって華子の存在は大きいのである。
沙月の口からそっと溜め息が漏れる。
「ですが、あれから十年。理事長は必死に働き、今の薄羽を築き上げたのです」
「それなら、今の経営不振はどうして?」
「それこそが奥様のせいなんです」
華子の実家が経営する商社は、華子の父親から今の経営者に代替わりをして、経営不振に陥っているという。
「以前のように安価の仕入れではなく、むしろほかのどこよりも高い価格で医療機器を購入する羽目になったんですよ」
これまでの恩があるからと、沙月の父はそれを受け入れた。
そして、無理がたたって倒れたのだ。



