仄かに香るメロウ


藍のクリニックの休診日である三が日が終わると、またいつもの日常に戻る。

藍はいつものようにご飯を作り置きし、出勤する前にわたしにキスをしてから仕事に行くようになった。

プロポーズをされたあの日から、わたしの体調は良い方向に向かっており、リストカット癖は落ち着き、また食欲も出てきて、食べられるようになってきた。

藍は休憩時間になると、わたしの様子を見に一時帰宅をし、作り置きしてあったご飯が食べてあるのを確認すると、「薬は飲んだか?」と訊く。

「うん、飲んだ。」
「よし、偉い偉い。」

藍はそう言い、わたしの浮腫んだ脚をマッサージしてから、「じゃあ、そろそろ戻るな。」と再び仕事へ戻ろうとした。

「藍!」

わたしが飛び止めると、藍は振り返り「ん?」と戻って来る。

「忘れ物。」
「えっ?」

そして、わたしが口を尖らせると、藍はハハッと笑い、わたしにキスをすると「帰って来たら、狼になってやるからな。」と言い、わたしを笑わせると「行ってきます!」と再び仕事へ戻って行った。

結婚してから、気持ちが安定してきて、わたしの中から"寂しさ"はいなくなった。

わたしには藍が居てくれる。

これ以上、心強いことはない。

わたしは藍のキスの余韻に浸りながら、目を閉じた。