突然のことに驚き、そして涙が溢れてくるわたし。
「だって、、、わたしなんて、居なくなった方が、、、」
「居なくなった方がいい人間なんて居ない!」
藍とは幼稚園からずっと一緒だったが、今まで話したことはなく、この時が初めての会話だった。
そのあと、授業を抜け出し屋上に居たことが先生にバレ、2人で職員室に呼ばれ、藍は「自分が屋上に行ってみようと言いました。」と自分のせいにして、一緒に怒られてくれた。
そのことがきっかけで徐々に話すようになったわたしたちは、ある日の帰りに「ラーメン食いに行こうぜ!」と藍に誘われた。
しかし、お金なんて持っているはずもないわたしは「お金ない。」と答える。
「俺が奢ってやるから!な?ラーメン食べたら、元気出るぞ!」
そう言う藍に連れられ、初めてわたしは"ラーメン屋"というところへ行った。
「何ラーメンにする?」
「え、、、じゃあ、醤油?」
よく分からないまま醤油ラーメンを注文し、大きな器に入った醤油ラーメンが目の前に運ばれてきた時は、"これが本物のラーメンなんだ。"と思った。
「ほら、食べようぜ!」
「うん、、、いただきます。」
割り箸を割り、わたしは初めて本物のラーメンの麺を掬い、フーフーしてから口へと運ぶ。
本物のラーメンを噛み締めていると、わたしの瞳からは自然と涙が溢れていた。
カップ麺の味しか知らなかったわたしは、本物のラーメンの味に感動したのだ。
「どうだ?美味いか?」
そう訊いてくる藍の言葉にわたしは「美味しい、、、。」と涙声で答えた。
こうして、わたしはラーメンの虜になったのだ。
藍がご馳走してくれた醤油ラーメンは、世界で一番美味しい食べ物だと思った。



