仄かに香るメロウ


それからわたしたちはすぐに婚姻届を役所に取りに行き、それぞれの欄を埋めると、保証人欄には、黒木先生と志摩先生に署名してもらった。

そして、わたしの体調上、新婚旅行は難しいんじゃないかという話になった結果、近場の温泉旅館に行こうということになった。

「1泊2日なら」と志摩先生からの許可を貰い、わたしたちは元旦に婚姻届を提出したその足でそのまま温泉旅館へと向かった。

こんな時期だから、予約を取るのは難しいと思ったが、奇跡的にキャンセルが出ていて、予約を取ることが出来たのだ。

藍が予約を取ってくれた旅館は、木のぬくもりを感じる綺麗な旅館で、案内されたのは露天風呂付きの和室だった。

「わぁ〜!凄ーい!」
「綺麗な部屋だなぁ!」

今思えば、温泉旅館に宿泊なんて初めてのことで、わたしはテンションが上がっていた。

「はしゃぎ過ぎたら、具合悪くなるぞ〜。」
「大丈夫!」

藍に注意されながらもわたしのウキウキ、ワクワクは収まらない。

ご飯は部屋食でゆっくりといただき、献立も豪華だった。

そして、お風呂の時間になり、露天風呂に入ろうとしたのだが、ガラス越しに見えてしまう為、ちょっと恥ずかしかった。

「こっち見ないでよ〜?」
「分かってる〜。」

そんなことを言いながら、露天風呂に入ると、温かい温泉に涼しい風を感じ、とても気持ちが良く、癒された。