仄かに香るメロウ


「俺たちってさ、初めて話したのは中2の時だったけど、幼稚園から一緒だったじゃん?」
「うん、そうだね。」
「瑠衣はきっと俺のことなんて、ただのクラスメイトの一人としか思ってなかったかもしれないけど、俺は、、、んー、小学校の高学年あたりだったかなぁ。その頃から、瑠衣のことが気になりだして、気付けばずっと瑠衣を目で追ってた。」

藍の言葉で初めて知る事に、わたしは「そうだったの?」と驚いた。

「うん。毎日1人で、休み時間も1人でぼんやり外を眺めてる瑠衣が気になって仕方なかった。最初は何でいつも1人なんだろうって、思ってるくらいだったけど、そのうち1人で居る瑠衣が寂しそうに見えてきて、声を掛けたいって思うようになった。でも、なかなかタイミングがさ、、、まだ中学生で恥ずかしかったのもあるし。」

藍はそう言うと、照れくさそうに笑い、「懐かしいなぁ。」とあの頃を思い浮かべるように宙を見上げた。

「そして、ある授業中にさ、瑠衣がトイレに行くって言って教室から出て行った時、何か張り詰めたような、、、何かいつもと違う雰囲気があってさ、しかもなかなか帰って来ないし、心配になって、俺もトイレ行くって嘘ついて教室抜け出して、何と無く屋上に向かったんだ。そしたらさ、瑠衣が屋上の端に立ってるの見つけて、慌てて瑠衣に向かって走って行って止めた。」

藍の言葉でわたしもあの日のことを思い出す。

そう、、、藍は必死になって、わたしを止めてくれたんだ。

「あの時、怖かった。もし、瑠衣があのまま飛び降りてたらって思ったら、、、俺、一生自分を責めながら生きてたと思う。」
「何で?藍は何も責めるようなことしてないじゃない。」
「いや、、、何でもっと早く、この子に話し掛けなかったんだろう。何でいつも1人で居るのか、話を聞いてあげなかったんだろうって。後悔してたと思う。」

そう言う藍が少し悲しそうな表情を浮かべるので、わたしは「でも、藍のおかげで、わたしは今ここに居るよ?」と言った。