仄かに香るメロウ


「キャンドル20個買って来て、足りるか不安だったけど、20個でも充分明るいな!」

藍はそう言うと、食卓テーブルの中央に置いてある最後のキャンドルに火を灯した。

そして、食卓テーブルの上には、豪華なチキンとわたしの大好きなラタトゥイユが用意されていた。

「瑠衣。」

藍はわたしの名前を呼び、歩み寄って来ると、わたしの手を引き、ソファーの上に座らせた。

それから藍はわたしの隣に腰を掛け、「瑠衣、メリークリスマス。」と言った。

「えっ?」
「今日は12月25日。クリスマスだぞ。」
「そうだったの?わたし、全然日にちとか曜日感覚がなくて、知らなかった。」
「無理もないよ。そんな余裕なかったもんな。」

藍はそう言うと、ソファーの脇に置いてあったラッピングされた箱をわたしに差し出した。

「瑠衣にクリスマスプレゼント。」
「え、わたし何も用意してないよ。」
「そんなこと気にしなくていい。俺が瑠衣にプレゼントしたくて買った物だから。」

わたしは「ありがとう。」とそれを受け取ると、「開けてもいい?」と訊いた。

「いいよ。開けてみて。」

藍の言葉を合図にわたしは、ラッピングが破れないようにそっとラッピングを剥していく。

そして、中から姿を現したのは、透明なケースに入った白いクリスマスツリー型のキャンドルだった。

「可愛い!」
「気に入ってくれた?瑠衣はキャンドルを集めてたからさ。」
「気に入った!藍、ありがとう!」

わたしは久しぶりに笑顔になれた気がした。

すると、藍が再び「瑠衣?」とわたしを呼ぶ。

「何?」
「話したいことがあるんだ。少し長くなるけど、聞いてくれるか?」

藍の言葉にわたしは頷き、貰ったクリスマス型のキャンドルを膝の上に置いた。