仄かに香るメロウ


そして、また藍が仕事へ出勤して行く週が始まる。

わたしは相変わらず寝たきり状態で、食欲はなかったが、藍が作り置きして行ってくれたご飯は頑張って食べるようにした。

それから何日経ったか分からないが、ある日の夕方。

わたしが目を覚ました時には、既に部屋は真っ暗で、枕元に置いてあるスマホで時間を確認すると、"19時28分"だった。

わたし、そんなに寝ちゃってたんだ。

この時間なら、藍は帰って来てるよね。

そう思いながらゆっくりと身体を起こすと、リビングの方が物音が聞こえてきた。

やっぱり藍は帰って来てる。

わたしは布団から出ると、寝室のドアを開けた。

すると、いつもならリビングの電気の明かりが見えるのだが、今日は薄暗く、いつもの電気の色とは違い、わたしの好きなオレンジ色の温かい光が灯って見えた。

わたしは壁に手をつきながらゆっくりとリビングの方へ歩いて行った。

そして、リビングの入口でわたしは「わぁ、、、。」と足を止める。

そこには藍が居て、わたしの声に気付いた藍は「あ、瑠衣。起きちゃったか。」と言いながら、悔しそうな表情を浮かべた。

「藍、、、これ、どうしたの?」
「どうだ?綺麗だろ?」

そこに広がっていたのは、暗いリビングを温かく灯すたくさんのキャンドルたちだった。