仄かに香るメロウ


冬と言える季節に突入し、わたしは倦怠感と関節痛からほとんど布団から出られない状態になっていた。

食欲もなく、毎日藍が出勤前にベッド脇に作り置きして行ってくれるご飯も残してしまうようになり、藍はお昼休憩の時間に一時帰宅しては、わたしの背中を擦ってくれた。

そんな日々が続き、毎日同じことの繰り返しで、わたしは日にちや曜日の感覚がなくなっていた。

しかし、藍が朝からずっとそばに居てくれる日だけは、日曜日なんだということは分かった。

「今日は体調どうだ?少しご飯食べれそうか?」

朝なのか、昼なのか、目を覚ましたわたしに藍は訊く。

今日はいつもより少し身体がラクな気がする。

「いつもより大丈夫。ご飯ちょっと食べれるかも。」
「何なら食べれる?」
「タマゴサンド。」
「分かった。今作ってくるから、待ってな。」

藍はそう言うと、わたしの頭を撫で、寝室を出て行った。

キッチンから微かに聞こえてくる藍が調理をする音。

わたしは、何にも出来ずにただベッドで寝ているだけ。

藍に負担ばかりかけて、何してるんだろう。

そう思うと、涙が溢れてきた。

思うように身体は動かない、痛いところだらけで、こんな身体捨ててしまいたいと思う時もある。

こんなわたしのそばに何で藍は居てくれるんだろう。

そう思っていると、黒木先生から言われた言葉を思い出しかけたが、"いや、自惚れるな"と自分に言い聞かせ、わたしは涙を拭った。