仄かに香るメロウ


いやいや!
そんなわけない。

自惚れるな、わたし。

でも、藍の好きな相手が岡田さんじゃないと分かって良かった。

そんなことを思いながら、次に向かったのは膠原病科の志摩先生のところ。

志摩先生は基本的に無表情で、最初は怖い人なのかと思ったが、ただ無表情なだけでとても良い先生だ。

「関節痛が悪化してるんですか?ちょっと手、見せてください。」

わたしは志摩先生に言われた通り両手を出した。

わたしの手を取り、指の関節の変形具合を見た志摩先生は、「確かに少し変形が進んでますね。」と言った。

「今日は関節痛で歩けないから車椅子に乗ってる感じですか?」
「はい、あとぉ、倦怠感もあって。」
「季節の変わり目はどうしても症状が悪化しやすいですし、七海さんは今、心の状態もあまり良いとは言えない、、、そこから悪化してる可能性もありますから、少し様子をみましょう。次回の受診時でも症状が酷く、変形も進んでいるようでしたら、手術も視野に入れましょうか。」

志摩先生の言葉に「手術、、、。」と呟くわたし。

「大丈夫ですよ。すぐそばには、予約が取れない程人気の心療内科医が居ますし、もし手術になったとしても、僕が自信を持って紹介出来る整形外科医を紹介しますから。」

こうして、今日の受診は終了した。

わたしは車椅子から降りると、「無理するな。」と藍に言われ、藍にお姫様抱っこをされて車へと戻り、乗り込んだ。

自宅へ帰る途中の車内には、相変わらず"花束のかわり◯メロディーを"が流れていた。