仄かに香るメロウ


そして、お風呂の時間になると、藍はわたしの左手首の包帯を外し、防水用のガーゼを貼ってくれた。

湯船に浸かり、左手首を見つめる。

またリストカット癖が再発してしまった、、、

せっかく落ち着いていたのに、、、

だから、きっと、、、黒木先生に来週受診するように言われたんだろうなぁ。

通常だったら3週に一度の受診で良かったのに、また受診回数が増えるのかな。

薬の量も増えるのかな。

でも、わたしにとっての一番の精神安定剤は、藍なのだ。

藍と同棲を始めてから、徐々にリストカットの回数が減り、薬の減薬も出来て、体調も良くなって寛解に向かっていた。

しかし、藍に好きな人が出来て、藍がわたしから離れていってしまうかもしれない、、、そう思っただけで、わたしは一気に不安のどん底に突き落とされ、寂しさからまた自分を傷付けるようになってしまった。

わたしは、どうしたらいい?

やっぱり藍に頼りっぱなしはダメだよね。

そう思いながら、わたしはシャワーで髪の毛と身体を洗い、お風呂から上がると、ドライヤーで髪を乾かし、「藍〜、お風呂上がったよ。」とリビングに行った。

「お、上がったか。」

ソファーに座り、医療書を読んでいた藍は、医療書を閉じると、「ほら、こっちおいで。」と言い、わたしを自分の隣に座らせ、テーブルの上に置いてあった救急箱を開けた。

そして、わたしの左手首をに貼ってある防水シートを剥し、ガーゼをあて包帯を巻いてくれる。

「ありがとう。」
「どういたしまして。じゃあ次、俺入ってくるな!」

そう言うと、藍は洗面所へ向かって入って行った。