仄かに香るメロウ


藍が来てくれたことで落ち着いたわたしは、ベッドの上に戻り、ティッシュで涙を拭きながら、グシャグシャになった髪の毛を藍に直されていた。

藍はわたしをベッドに寝かせ、布団を掛けると、わたしの左手首を見て、「また傷付けたくなっちゃったのか?」とわたしの手を握った。

わたしは黙ったまま頷くと、藍は「何かあったのか?」と優しい口調で訊いた。

「、、、わたしは、居ちゃいけないのかと、思って、、、。」

わたしがそう答えると、藍はわたしの手を握ったまま「瑠衣は、俺のそばに居てくれないと困る。」と言った。

「でも、、、」
「じゃなかったら、午前診療が終わってすぐ駆け付けないだろ?瑠衣が居なくなるなんて思ったら、俺は怖い。」

藍はわたしにそう言うと、わたしの頭を撫で、「午後診療が終わったら迎えに来るから、それまで待ってられるか?」と言った。

「、、、迎えに来てくれるの?」
「当たり前だろ。」
「わたし、、、藍の家に行っていいの?」
「あの家は、俺だけの家じゃない。瑠衣の家でもある。帰って来ていいに決まってるだろ。」

藍の言葉に涙を流すと、藍は「今日は元気が出るようにラーメン食べて帰るか?それとも、ラタトゥイユ作るか?」と言い微笑み、わたしは「ラタトゥイユがいい。」と答えた。

「うん、分かった。もちろん、セロリ入りな?」
「うん。」

藍は「任せとけ。」と言うと、続けて「じゃあ、そろそろ戻るな。寝て待ってろよ?」と言い、軽く手を振って病室から出て行った。

藍が迎えに来てくれる。

わたしはそう思うと気持ちが落ち着き、一気に眠気に襲われ、いつの間にか眠ってしまっていた。