仄かに香るメロウ


複雑な気持ちを抱えたまま日曜日は終わり、また1週間が始まる。

藍はまだ布団から出られずに居るわたしに「おにぎりと玉子焼き作って置いたから、お腹空いたら食べろよ。あと、薬も忘れずに。」と声を掛けてから、仕事へと出勤して行った。

わたしは藍が出勤して行ってからしばらく布団の中でぼんやりしていると、ジワジワと心の奥底から寂しさが込み上げてくるのを感じた。

あ、ヤバい、、、この感覚、、、

久しぶりに感じる、自分を傷付けたくなってしまう衝動。

気付けばわたしは、洗面所に向かい、洗面台に置いてある顔剃り用の剃刀を持ち、左手首にあてていた。

何の躊躇もなく、そのまま剃刀を横に引くと、痛みと共に涙が溢れてきた。

傷が入った左手首には、じんわりと血が滲み出てきて、それから徐々に血が手首を流れ滴ってくる。

わたしは涙を流しながら、その行為を無心で何度か繰り返し、洗面台は血が滴り血だらけになっていた。

寂しい、、、寂しい、、、

わたしは洗面台についた血を洗い流すと、傷付いた左手首をそのままに外へフラッと出て行った。

冷たい秋風が吹く中、コートも着ずに部屋着でうろつく20代後半の女なんて、周りから見たら変な奴に映るだろうなぁ。

わたしは行く当てもないままフラフラと歩き続け、そして角から曲がってきた自転車に乗る人とぶつかり、勢い良く跳ね飛ばされ、冷たい地面に叩きつけるられた。

しかし、心も身体も何も感じない。

見えるのは、薄っすら雲がかかった青空だけ。

わたしはそのまま気が遠くなり、意識を失っていた。