わたしがお昼寝から目が覚めたのは、17時になる手前だった。
すっかり部屋は暗くなり、藍の部屋の窓から月明かりが差し込み始めている。
すると、キッチンの方から何やら物音が聞こえてきて、良い香りも漂ってきた。
わたしは藍の布団から抜け出すと、目を擦りながら部屋を出て、キッチンへと向かった。
「藍〜。」
わたしが呼ぶと、キッチンに立つ藍がわたしの方を向き、「おぉ、瑠衣。起きたか。」と言った。
「ん、この匂いは!」
部屋中に広がるわたしの大好きな匂いにわたしは、藍のそばに近寄って行った。
「今日はラタトゥイユとピラフ。」
「やったね!藍のラタトゥイユ大好き!もちろん、セロリは入れたよね?」
「入れましたよ。」
「さすが、藍!分かってるね〜!」
「セロリ好きなんて珍しいよな。」
わたしは生でセロリを噛じれる程のセロリ好き。
そして、藍が作るラタトゥイユは絶品なのだ。
「藍はセロリ好き?」
「いや、食べれるけど好きって程じゃないな。瑠衣は、何でセロリ好きになったんだ?」
「セロリってさ、苦手な人が多くて地味じゃない?何かわたしみたいだなぁって、仲間意識?」
「何だそれ。瑠衣は地味じゃないし、俺は苦手じゃないぞ。」
「それは藍が変わってるんだよ!わたしみたいなのを地味じゃなくて、苦手じゃないって思ってるのは、藍くらいだと思うよ?」
わたしがそう言うと、藍は「瑠衣は自分を卑下し過ぎなんだよ。」と言い、IHを止めると、「さぁ、出来た。食べるぞ。」と食器を取り出し、今日のメニューを食卓へ運んだ。



