「ぁあ空周……」

 半泣きになる下僕はそれでも言い返すことなく、王様から自分に送られる言葉を噛み締めるように、まるで浸るように受け取っている。



「ルーキーのとこにいないなんて……。お嬢さん僕と帰るって約束してたのに、教室にいなかった」

 そんな二人のやり取りなど毛ほども興味がない研真。



「僕らには関係ないですよ」

 ケロッと立ち直ったいるみが無愛想にぶった切る。



「あの女から目を離すなよ、バカが」

「ちょ、空周?」


「いるみ、てめぇも探せ」

「えぇ……」



 物言いたげに渋々ご主人の言う通り動く下僕。

 その足にしがみつきながらずるずる引きづられる萌え袖少年。


 彼らを振り返りもせず一番に教室を後にした王様。三人は仁彩を探すためそれぞれ散った。