虹橋の先へ



こうなると、もう実行あるのみ。
父の許可など、待っていてもいつになるやら……というより、永遠にこない気がする。
もういっそ、強行突破しようと決意を胸に自室に戻る。


「翡翠の森、かぁ……」



荷造りをしていた手を止め、ふと空想に耽る。


クルルとトスティータの間にある、美しい森。
一体、どんなところなのだろう?
以前は二国が冷戦状態だった為、禁断の森とすら呼ばれていたと聞く。
それが今ではロイとジェイダが結ばれたことで、デートスポットになりつつあるというから、彼らの功績は計り知れない。
もっとも、訪れる人が増えるほど新たな問題も生じるようで。
自ら吹聴したと思われる当の本人は、今になって困っているようだが。


それにしても、ロイも父もずるい。
クルルでニールに会うどころか、まだ翡翠の森にすら出向いたことがないのだ。



(私も、ニール様とご一緒したいな)