虹橋の先へ



『私』と『僕』。
ニールの場合、そのほとんどが意識して使い分けられているようで、少しムッとしてしまう。



「覚悟はいい?きっと今頃、ロイはかんかんになって僕たちを待ち構えているよ。まあ、でもたぶんーーあの方にも身に覚えはあるだろうけどね」



悪戯っぽく笑う彼の背中に、安心して頬を寄せた。
それでも身体の近づけ具合に迷っていると、前からぐっと引っ張られてしまった。



「お二人も、あの日こんな風景をご覧になったんですね」



いつの間にか、翡翠を照らす光が茜色へと移り変わっていく。
先程と同じく美しく、でも、ずっと穏やかに眺めることができるはずなのに。



「そうだね。でも、僕たちは僕たちの道を作りながら進んでいくんじゃないかな。だって、僕たちはあの二人とは違って」



ーーもう、ね。そうでしょう、オーリー?