心臓をぎゅっと掴まれたみたいに胸が痛くて、カッと熱いのに、それでいて体の芯から冷え冷えとしている。
「……っ」
ライリーの名前を呼びそうになり、すんでのところで唇を噛んだ。
「坊や、こっちへ!!」
その間に、おじいさんがライリーの体を引き寄せ、庇うように抱きすくめていた。
「だめだ……!あいつらの狙いは僕……」
「いいや。坊やたちの存在は、これからどんどん大切になる。いつか、珍しくとも何ともなくなる日まで」
震える老いた手と、力強い言葉。
(……ああ)
ここにあった。
やっと出逢えた。
生まれを誇らしく思える理由が、ここにある。
それを守る為なら、何を恐れることがある?
「馬鹿なことを……!あの時、祈り子が愚かな真似をしなきゃ、どこかの王子とやらが祈り子をたぶらかしたりしなきゃこんなことには……!」
「……やめなさい……!!」
物騒な光が男の懐から見え、オーリーは二人の前へ飛び出していた。



