「オーリー!?」
握られた手を振り払い、どことも分からず駆ける。
「助けなくちゃ!!あのご夫婦、翡翠の森の近くにお住まいなのよ。もしかしたら、帰り道に危ない目に遭ってるかも……!!」
森を抜けてすぐの家。
何もなければいい。
杞憂だったと、もう一度笑って挨拶がしたい。
「誰のことさ!?とにかく、危険だ!!大体、道分からないでしょ?心配なのは分かるけど、立場を考えて!オーリーに何かあったら……」
「――考えているわ、ライリー。私がいるべき場所も、するべきことも。でも、生まれなんて関係なく、一人の人間として今、それをやりたい。それでも私が他の人にはないものを与えられたと言うのなら、それを今使いたいの。だから、道を教えてちょうだい」
この姿を見て、王女だとバレることはないだろう。
実際、宿屋で働いていても、一人としておかしな顔をする人はいなかった。
少女ひとりの意見など、誰も耳を貸してはくれなくても。
(……絶対に止めてみせる)



