虹橋の先へ


宿の外は別世界だった。
いつも歩いている道、ついつい覗いてしまう露店。
談笑する人たち、昔と比べて過ごしやすくなった陽気を楽しむ、のんびりベンチに座っている人。


誰もが雰囲気を変え、不安そうに足早に通りすぎていく。
中には俯きがちに道を急ぐ、クルルの人も。
つい今朝方、出勤する為に通った道と同じとは思えない。
睨み合い、今にも掴みかかりそうな両国の男たちが向こう側に見えた。



「……っ、やめ……!

「オーリー!!」



咄嗟にそちら側に渡ろうとしたところを、後ろから手首を引かれてつんのめる。



「ライリー!学校は?」

「……休校になった。大事になる前に家に帰って、大人しくして……翡翠の森には絶対近づくなってさ。この辺は危ないよ」



暴動の波が、ここまで押し寄せるというのか。
いや、もう既にこの有り様だ。
ということは、より森に近い場所は――……。




『そうなの。私たち、翡翠の森の近くに住んでいてね。あの辺も、昔は悲しいことが多かったけれど……せっかくこんなにいい時代になったんだもの。それを、この目で見ておこうって』