「ありがとうございました!!」
そのままお見送りを済ませ、下げた頭を戻すと気分は晴れやかだ。
(本当に、ジェイダ様も叔父様も偉大だわ。でも)
みんなだって。
確実に広がっている、心の繋がり。
本当は一人ひとりが胸に秘めていた、正しいと信じるものも。
受け入れていく勇気は、本当に素晴らしい。
(私、ここに来られて良かった)
この光景を見ることができて。
それぞれの想いを、肌で感じることができて。
「進まなくちゃ」
城にいたままでは、きっと知り得なかった。
きっと、こんなふうに熱い想いは芽生えなかった。
勇気を振り絞ってくれた、彼らを守りたい。
ずっとずっと安全な場所で守られていた自分がこう言うのは、何て烏滸がましいことだろう。
でも、この境遇に生まれてきたからこそ出来ることが、しなければならないことがある。
それは辛いかもしれない。
かつて、ロイや父、ジェイダが抱え、苦しんできたように。
「それでも、やりたいの。私、自分でやりたいのよ」
宿の玄関に立ったまま、オリヴィアは夫婦が通り過ぎていった道をしっかりと見つめていた。



