きょとんとされ、しばらくして頬が熱くなる。
そこまで正直になる必要はなかったのに。
彼女だって、いきなり見ず知らずの店員にそんな告白をされ、反応に困っているに違いない。
「す、すみません……!」
国が一緒だというだけで、何の共通点もないのに。
実際は、その好きな人は彼女の母国・クルルの王族であるから、それも当然なのだけれど。
それこそ、彼女には知るよしもないことだ。
「いいえ。そうね、今では私がここにこうしていられるくらいだけど。それでも、あなたみたいな若い女の子が一人で出向くのは勇気がいるわ。もしかして、ご家族に反対されているの?」
一瞬、チラリと全身に目が走ったかと思うと、気遣わしげに尋ねてくれた。
「えっと……関係自体は良好なのですが。なかなか、外出の許可が下りなくて」
「そう。確かに、嫌な思いを全くしないわけではないもの。ご家族が心配するのも無理はないわ。あまり、無茶をしないようにね」
どうやら、逃亡資金を稼ぐ為に働いているのだと勘違いさせてしまったようだ。
だが、わりと当たっている。



