・・・
洗剤の泡に塗れた指から、またもツルッと皿がシンクへと滑り落ちていく。
「あ、わわわっ!!」
(さすがに、もう割れない……!!)
必死に手を伸ばし、どうにかすんでのところで受け止める。
「あぁぁ……よかったあぁぁ……」
安堵の息が次第に溜め息へと変わる。
さっきも、接客中にグラスをひっくり返したばかりだ。
たまたまお客さんがいい人だったからよかったものの、宿に迷惑はかけられない。
結果、一旦は厨房に引っ込んだのだが、ここでもやはり失敗続きだ。
(分かってはいたんだけどなぁ……)
実際に自分が何もできないことを痛感すると、どうしたって落ち込む。
しばらく様子を見てくれていた二人も、帰ってしまったことだし。
いや、実を言うと、失敗を見られるのか恥ずかしくて、帰ってもらったのだが。
「ううん、初日はこんなもの……じゃないかもしれないけど。これくらいでめげてちゃダメだわ。ニール様に会う為よ、オーリー!!」
始めたばかりで諦めるつもりは毛頭ない。
こんなところをロイにでも見つかろうものなら、わざとらしく肩を竦めて、嫌みっぽく言われそうだ。
『気が済んだ?お姫様?』



