「ふーん、このお嬢さんがね」
一度こちらをちらりと見たきり、ハナは特に何も言わなかった。
ロイですら「坊っちゃん」なら、自分はお嬢さんと呼ばれるだけましな方だろう。
「あ、あの。ご迷惑をおかけすると思いますが……よろしくお願いしますっ!!」
「ああ、そうだね。その辺は、あまり期待しないでおくさ」
(うっ……)
言われてしまった。
そのとおりなので反論のしようもする必要もないが、まだ始めてもいないのにこれでは、先が思いやられる。
「でも、愛嬌とやる気はありそうだ。そっちは期待してるよ」
「そうですよ。愛嬌なら、ハナさんよりオーリーの方がずっとあるかも」
「言ってくれるね。まあ、看板娘になったら、返せなくなるかもしれないけどね」
確かに、直球の物言いはわりとグサッとくる。
でも、優しくていい人だ。
迷惑を被ることが分かっているのに、期待してるだなんて。
「頑張ります……!!」
ガバッと頭を下げると、なぜだか反応がない。
恐る恐る上目で窺ってみると、やや遅れてクスリと聞こえた気がした。



