想い人の名前が挙がってドキッとする。
クルルの第二王子だった彼は、王となった兄のキャシディを補佐する為に日々奮闘していると聞く。
(お忙しいのよね、でも……)
会いたい。
かつては敵同士だった、トスティータとクルル。
今ではいざこざがないとは言わないが、それでも昔に比べると情勢も落ち着いていると聞くし。
「でも……もう、ニール様が成人されたのですもの。せめて一言、お祝いだけでも」
毎日のように父に願っても、まだ早いと断られてきた。
しかし、今年こそは諦めない。
自分はまだ子供でも、あの人はもう大人になってしまうのだから。



