でも、だからこそ見てみたかった。
そこの空気に触れてみたかったのだ。
会いたくて、会いたくて。
あの優しいダークアイが恋しい。
見上げた先で、ふわりと笑って呼んでほしい。
『オーリー』
城内だけではなく、彼の過ごす世界で。
その声を聞いてみたかったのだ。
「分かってるの、本当は。だからね……!!」
もっともっと勉強して。
もっともっと、実際の二国を見つめて、知って。
「絶対、お父様や叔父様に文句を言われないよう、ニール様に相応しい女性になるんだから……!」
「……あー、うん。頑張って。でも……」
ライリーが何か言いかけたが、父のことを思い出すと腹が立ってきてよく聞こえない。
「でも、お世話になるのだから、お手伝いでも何でもするつもりよ」
「……って言われてもなぁ。他にしたいこととかはないの?クルルに行けたらいいけど……さすがに、僕らだけじゃ許してもらえないしね」
彼の守る国。
そう、もうほんの目と鼻の先。
それに、より近いのは――。



