「見て、オーリー」
ニールが指したのは弓形に空へと架かる七色の橋。
「綺麗ですね……」
「……うん。クルルでも雨は降ったし、ここでも青空が望めた。その先に、まだやるべきことは残っているけど……きみと歩んでいきたい。どうか、受けてくれる?」
答えを貰えていないことに不安を覚えたのか、黒色の瞳が探るように見つめてくる。
「はい……!」
一体、誰の計らいだろう?
正直、まだほんの少し肌寒さを感じてしまうけれど、もちろん嫌ではない。
いつか、そう遠くない未来、ここにはたくさんの花が咲いて。
キラキラ落ちてくる水を眺め、くすぐったいくらいに浴びながら、皆で笑っていられますように。
「あ、そうだ」
すっかり忘れていたのか、ばつが悪そうにニールは上着の内側から一輪の花を差し出してくれた。
「今日はここでも暖かいから、まだ咲いてくれてる。知ってる?この花、今では求婚の時にも使われるようになったんだよ。ロイや兄上の真似事みたいで癪だけど……やっぱり、きみに似合うね」
市場で見かけた、あの赤い花。
確か、昔はあまり好まれなかったと。
でも、今でも強く咲いて――ここでだって、こんなにも美しい。
「ありがとうございます!」
王の結婚は本人の性格からそれほど豪勢ではなかったけれど、民間出身の女性が王妃になったことでクルルはかなり沸いたと聞いている。そんな話もまた、近く聞いてみたいものだ。



