『昔は可愛かった』
そういえば、ロイもキャシディも彼のことをそう称していた。
子供の頃は皆そんなものだと、特に気にも留めていなかったけれど――今思うと大いに納得。
「……お逢いしたかったです、本当に。まさか、ニール様本人に打ち明けてしまっていたらなんて……でも。全部、本当のことです」
父に邪魔されて辛いのも、会えなくて寂しいのも。
どんどん大人の男性になってしまうのも、自分の幼さが嫌になるのも。
恋愛対象として見てもらえているか、不安で堪らなくて押し潰されてしまいそうだったことも。
「僕こそ。まさか、自分に嫉妬していたとはね。あの後しばらくは、記念式典など開くなんて一体どれほどの男なのだろうともやもやしていたんだ」
本当に不思議な縁。
あの声が授けてくれた、素敵な贈りもの。
「今日伺ったのはね、やっとその話ができると思ったのと、もうひとつ。……オリヴィア王女」
正式名で呼ばれるのは、何か真剣な話をされる合図のようで緊張する。
ギクリと身を震わせたのに、安心させるようにその手を更に下へと滑らせ、腕を撫で――彼はその場へ跪いた。
「貴女を迎えるお許しを得る為に。どうか、私にその権利を頂きたい」
チクリと指先を刺され、痛くはないけれど痺れてしまう。
ニールの唇が押し当てられたのだと分かると、ガクガクとそのまま倒れこんでしまいそうになる。
「……っ…あ……っ?」
聞いたことのない音がして、思わず振り向くとそこには。
「あ……」
勢いよく吹き出る噴水。
長年使われていなかったから、時々詰まりながらも透き通った水が空へと打ち上げられていく。



