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城に戻れば、何だか夢を見ていたみたいな時間だった。
叔父夫妻の家、ハナの宿屋、翡翠の森――そして、ニールと過ごした日のこと。
嬉しさも喜びも、痛みも悲しみも。それでいてその全てが、やはりとても現実的だった。
「オリヴィア様。日向ぼっこもよろしゅうございますが、長居されてはお肌に良くありませんよ。昔とは日差しの強さが違うのですから」
「……はーい」
庭でぼんやりしていると、もう何度目かばあやに言われてしまった。
クルルから帰ってから、少し日焼けしてしまったらしく。
少々赤くなった程度だが、彼女は余計に気を揉んでいるようだ。
「脱走して、ニール様に会えて。ちょっとは色っぽくなって帰ってくるかと思ったのに、ちっとも変わってない。っていうか、何それ。酷くなってない?」
酷いのは弟の口だ。
げっそりして、庭で佇んでいるところを見るとキースにやられたのだろう。
そっちこそ相変わらずだが、ほんの少し心配そうに見えるのは、ニールに会えた余裕からだろうか。
「帰ってきた実感がわいたわ。あ、ねえ、私がいない間にクルルからの来客があったりした?あんたと同じくらいの男の子とか」
フィルと話していると、可愛いあの子を思い出す。
結局、あれから一度も会えずじまいだ。
「はあ?使者殿は来なかったし、来たとしても子連れのわけないじゃないか」
「……そうよね。でも……」
一度は会えて、話せたのだ。
だから、大丈夫。
きっとまた会える。
そう信じて、逢えた人がいるのだから。



