「オリヴィア様。どちらへ?」
如何に昨今平和とて、さすがに門は強固だ。
すんなり通してくれるとは思っていないけれども。
「お父様から預かった、叔父様の忘れ物を届けに」
さしものオリヴィアとて無断でここまで来たことがなかったので、冷や汗が流れる。
怪しまれないようにっこりしてみたつもりだが、そもそもここにいること自体が不審だ。
「ならば、私がお預かりしましょう。父君が心配なさる前にお戻り下さい」
「だ、だめよ、そんなの!!」
もっともなことしか言ってくれない門番に、思わず悲鳴を上げそうになる。
「はぁ、なぜ?」
(落ち着いて、オーリー!ニール様に会う為よ)
「こ、これはね、その……」
(ごめんなさい、ジェイダ様……!!)
「……叔父様が、奥様に内緒で手配されたものなんだもの。あまり人目に触れさせたくないんですって。皆が忙しいから頼まれたけど、けして中は見るなと言われたわ。お前にはまだ早いって」



