久しぶりに唯葉ちゃんのお見舞いに行こうと思った。
ほんとは、愛に、目を覚ますまで来ないでと遠回しに言われてしまっていたが。
俺が会いに行くのは唯葉ちゃんだ。
なんて、理由を作りながら。
花束を駅前の花屋で買って、歩いて行ったんだ。
もうそろそろ慣れてきた廊下を1人で歩く。
いつもは愛と一緒だったから、慣れない部分もある。
最近の愛は心なしか笑顔がひきつっていて。
俺が笑顔にしてやりたかった。
でも、きっと無理なんだって嫌でもわかる。
ー今、愛を笑顔にできるのは唯葉ちゃんで、唯葉ちゃんだけで。
俺にはできない。
無知で無能で。
何もできない俺自身に反吐が出る。
ズブズブとよくない方にハマっていく。
「え、愛?」
唯葉ちゃんの病室は廊下の端っこ。
そこの病室の前で座りこんでいる、というか、足に力が入っていないような。
「、、愛。」
そおっと見上げるように顔をあげた愛の目には目一杯の涙があった。
今にも溢れそうな涙を見たのはこれで2回目だ。
愛が泣きそうな時、俺の心はギュッと痛くなる。
ポンポンと頭を撫でると、泣くまいと目を閉じて。
「なんでっ、きたのぉ、?」
まだ涙声の愛。新鮮で、でも、ほんとにそういう些細な部分も、
ー愛おしい。
「唯葉ちゃんのお見舞いだよ。愛、どしたの。」
ポンポンとまた頭を撫でると、目を拭いて、
「あのねっ、その。」
愛が少し震えながら、手のひらをギュッと握りしめているのがわかる。
痛いんじゃないかってくらい握りしめてて。
ー俺は、いつのまにか、愛のその手に手を重ねていた。
震えが止まって。
「あのねぇ、唯葉がね。笑ってたの。」
やっぱり、愛の感情を揺らすのは唯葉ちゃんだけ。
「笑ってたって?」
「晴翔とね喋ってたときにねっ、すごく楽しそうに笑ってった。」
確かに、唯葉ちゃんはあまりというか、笑わない子だなとは思っていた。
でも、そのときは俺がいるからかなとかしか思っていなくて。
でも、そんなに笑わないものなのか。
愛の口ぶりからきっと、唯葉ちゃんの笑顔を見たのが
久しぶりなのか。
それとも“初めて”なのか。
「とりあえず、立とうか。」
なんとなく気まずくて。
とりあえず立たせた。
そして、愛はとりあえず玄関の椅子に座らせて。
一旦、1人にしてほしいと言われてしまってはどうしようもなくて。
俺は1人で唯葉ちゃんの病室に行った。
途中で西崎とすれ違った。
「あ!!久留須先輩!俺、帰るんですけど。
先輩、唯葉の見舞いですよね!」
「あ、そうだよ。」
「唯葉、きっと喜ぶと思います!」
弾ける笑顔は、俺も笑顔になるほど。
明るくて、温かい。
「あ、唯葉ちゃん。お久しぶり。元気?大丈夫そう?」
「あ、はい。おかげさまで。」
なんだか愛といるときより、雰囲気が柔らかい気がする。
「あの、「あ、、あの。」」
「あ、唯葉ちゃんどうぞ。」
「あ、どうも。」
気を遣いながらの会話は疲れるけど唯葉ちゃんとの会話は何年も会ってなかった親友のように、馴染んでいた。
「あの。久留須さんにしか頼めないことがあるんです。お姉ちゃんを、久留須さんの大切な愛を、どうか笑顔にしてください。」
「え?」
「あの、実は、私、、
「え、」
俺は絶句した。
ほんとは、愛に、目を覚ますまで来ないでと遠回しに言われてしまっていたが。
俺が会いに行くのは唯葉ちゃんだ。
なんて、理由を作りながら。
花束を駅前の花屋で買って、歩いて行ったんだ。
もうそろそろ慣れてきた廊下を1人で歩く。
いつもは愛と一緒だったから、慣れない部分もある。
最近の愛は心なしか笑顔がひきつっていて。
俺が笑顔にしてやりたかった。
でも、きっと無理なんだって嫌でもわかる。
ー今、愛を笑顔にできるのは唯葉ちゃんで、唯葉ちゃんだけで。
俺にはできない。
無知で無能で。
何もできない俺自身に反吐が出る。
ズブズブとよくない方にハマっていく。
「え、愛?」
唯葉ちゃんの病室は廊下の端っこ。
そこの病室の前で座りこんでいる、というか、足に力が入っていないような。
「、、愛。」
そおっと見上げるように顔をあげた愛の目には目一杯の涙があった。
今にも溢れそうな涙を見たのはこれで2回目だ。
愛が泣きそうな時、俺の心はギュッと痛くなる。
ポンポンと頭を撫でると、泣くまいと目を閉じて。
「なんでっ、きたのぉ、?」
まだ涙声の愛。新鮮で、でも、ほんとにそういう些細な部分も、
ー愛おしい。
「唯葉ちゃんのお見舞いだよ。愛、どしたの。」
ポンポンとまた頭を撫でると、目を拭いて、
「あのねっ、その。」
愛が少し震えながら、手のひらをギュッと握りしめているのがわかる。
痛いんじゃないかってくらい握りしめてて。
ー俺は、いつのまにか、愛のその手に手を重ねていた。
震えが止まって。
「あのねぇ、唯葉がね。笑ってたの。」
やっぱり、愛の感情を揺らすのは唯葉ちゃんだけ。
「笑ってたって?」
「晴翔とね喋ってたときにねっ、すごく楽しそうに笑ってった。」
確かに、唯葉ちゃんはあまりというか、笑わない子だなとは思っていた。
でも、そのときは俺がいるからかなとかしか思っていなくて。
でも、そんなに笑わないものなのか。
愛の口ぶりからきっと、唯葉ちゃんの笑顔を見たのが
久しぶりなのか。
それとも“初めて”なのか。
「とりあえず、立とうか。」
なんとなく気まずくて。
とりあえず立たせた。
そして、愛はとりあえず玄関の椅子に座らせて。
一旦、1人にしてほしいと言われてしまってはどうしようもなくて。
俺は1人で唯葉ちゃんの病室に行った。
途中で西崎とすれ違った。
「あ!!久留須先輩!俺、帰るんですけど。
先輩、唯葉の見舞いですよね!」
「あ、そうだよ。」
「唯葉、きっと喜ぶと思います!」
弾ける笑顔は、俺も笑顔になるほど。
明るくて、温かい。
「あ、唯葉ちゃん。お久しぶり。元気?大丈夫そう?」
「あ、はい。おかげさまで。」
なんだか愛といるときより、雰囲気が柔らかい気がする。
「あの、「あ、、あの。」」
「あ、唯葉ちゃんどうぞ。」
「あ、どうも。」
気を遣いながらの会話は疲れるけど唯葉ちゃんとの会話は何年も会ってなかった親友のように、馴染んでいた。
「あの。久留須さんにしか頼めないことがあるんです。お姉ちゃんを、久留須さんの大切な愛を、どうか笑顔にしてください。」
「え?」
「あの、実は、私、、
「え、」
俺は絶句した。



