『結び目』

寂しい寂しい夢を見ていた。

お姉ちゃんと、晴翔と久留須さんが手を繋いでて。

追いかけても、追いかけても、届かなくて。

3人は光の方へ。私のまわりが暗闇に染まっていく。


そんな、夢。

「唯葉、、お願い。」

そんな声が聞こえた。

「唯葉?あのね、今日はね!」

聞こえている。
でも、目が開かない。まだ、、届かない。

「唯葉!!あのね!!」

届け。

「ん、、。」

届いた!

「唯葉?起きた、、、、。」

「あ、はると、、。」

起きた時間は夜9時で、お姉ちゃんは今帰ったところだったそう。

晴翔はずっと手を握ってくれていたらしい。
晴翔に握りしめられていた右手が、晴翔と同じ温度だった。

「はると、、。ありがと、。」

ニコッと精一杯笑った。

少しして、晴翔の顔がみるみる歪んで。
目から溢れんばかりの涙を溜めて。

でも、きっと我慢できなくて。

ボロボロと、涙が溢れていた。

「唯葉。よかった。」

はじめてみた、晴翔の涙だった。

「え、、」
頬に涙が流れていた。

安心したのかなぁ。

しばらく、晴翔と泣き続けて。

なんで泣いてんだっけぇとか言いながら笑って。


ー幸せな夜だった。

「晴翔、本当にありがと。」
涙混じりの鼻声で、全然可愛くない。

それなのに、晴翔は今までで1番の優しい笑顔でね。

「ほんとに、、よかった。
よかったよぉ〜(泣)」

あと大粒の涙と笑笑

私は初めて晴翔とハグをした。

大きくて、いつのまにこんなにおっきくなったんだろうね。

心なしか晴翔を遠くに感じた。