『結び目』

「唯葉!!!唯葉!!ゆいはぁー!!」

涙声の愛の声。

誰か!救急車!と声が聞こえた瞬間に、走り出した愛。

流石に俺も察した。


ーもしかして、唯葉ちゃ、、ん?

「愛!!愛!」

泣き叫ぶ声を頼りに俺は急いで愛を探した。

廊下の端に見えた。


倒れた唯葉ちゃん、、と、。
唯葉の背中を一生懸命にさする西崎(晴翔)と。

泣き崩れた愛の姿。

「愛!!」

我を忘れて走ったよ。

もうそれ以外思いつかなくて。
突き飛ばされてもいい。

俺は愛を抱きしめた。

「うわぁー!!!」

俺が抱きしめたのがきっかけなのか、
すこしはほっとしたのか。

愛は堰を切ったように泣き出した。

そして、愛は俺に縋るように、ギュッと抱きしめ返してきた。

「大丈夫。愛。落ち着いて。」

落ち着けないことくらいわかってる。
俺も、母さんのときそうだったから。

泣き叫んで。困らせて。
でも、その時の俺はそんなこと気にしなかった。

でも、愛は落ち着いた。
「みや、、っ。」

俺の名前を呼んで。
ただひたすら俺を抱きしめていた。

救急車がきても、愛は俺の手を離さなくて、ぎゅっと握りしめた愛の手が震えていたことも知っていた。

俺が震えを抑えてやりたいと思った。

病院に着くまで、俺は愛の手を固く握りしめていた。

西崎はというと、唯葉ちゃんの手を握って。
今にも泣きそうな顔で、唯葉ちゃんを見ていた。