『結び目』

「あのさ。唯葉ちゃん。」
「はい。なんですか。」
「文化祭、演劇部、見に来てくれたら嬉しいな。」

ん?なんでだろう。
久留須さんが演劇部なのかな。

「どうしてですか。」

この人の前では素直でいていいんだなって思える。

「愛だよ。」
「え?」

久留須さんはお姉ちゃんの話をするとき、少し表情が崩れる。いつもより優しい笑顔。

「愛がね、主演に立候補したんだ。
いつもから明るい愛だけど。結構面倒くさがりで。
こんなことはしないんだ。
でも、立候補した。
何か理由があると思って、唯葉ちゃんじゃないかなって。」
「え、。」
「あの、実は主演かなり今回セリフ多くて。
愛凄く頑張ってるから、見てあげてほしい。
僕が増やしたんだけどねセリフ笑笑。」
「脚本家なんですね。」
「そうなんだ。」

お姉ちゃんが主演??
確かにお姉ちゃんのキャラ的にはしそうなのに、お姉ちゃんはそういうのしたことなかったな。

もし、私のためなら嬉しいな。

あ、嬉しいんだ。
私、嬉しいよお姉ちゃん。

ごめんね。