『結び目』

白い天井。

辺り一面真っ白で、見慣れた部屋。

私は、生まれてからほとんどをこの部屋で、



病院のこの一室で過ごしてきた。



別に不満があるとか、そういうのではない。

ないかと言われるとうんとは言えないが。



いつのまにか不機嫌な顔が定着してしまったのか、
常に不機嫌そうな顔の自分が鏡にうつる。




ーいつになったら退院できる?
私は治るの?
私はいつまでここにいればいいの?


そんなのとっくに聞かなくなった。


いつのまにかひねくれすぎた私、新庄唯葉。


「たっだいまー!!」

バカ明るいお姉ちゃんのいつものノリ。

「おかえりって、やっぱり変だってば。」

「ハハハッ。いいじゃん!」



常にテンションが爆上がりのお姉ちゃん。


新庄愛。

明るいお姉ちゃんといると、元気がでる。



その反面、どうしても思ってしまうのはお姉ちゃんのこの性格も関係していると思う。



ー退院したい。




お姉ちゃんみたいに元気になってはしゃぎまわりたい。



もし、治ったら、お姉ちゃんみたいにはしゃぎ回れるのかな。



どうしても、心の奥底で期待してしまう私がいる。



お母さん達は、2年前くらいから来なくなった。


きっともう会うことはないんだと実感していた。

でも、なんで言ってくれなかったの?お姉ちゃん。


幸い来てくれるのはお姉ちゃんだけでなくて、


「やっほ!唯葉!」

「いらっしゃいませ、はるとさま??笑笑」


そう、幼馴染の晴翔。


こいつはなんだか元気が出る話し方で。

晴翔の前では素でいられる。


そして、ムカつくぐらいいい奴。



お姉ちゃんのはちゃめちゃさと晴翔の落ち着き具合が丁度良い。

私はそんな2人が大好きだった。



でも、時々どうしても羨ましく思える。


嫉妬してしまう。

自由に走りまわれるあなた達に。

願ってもさ、仕方ないよね。


私には頼れる2人の存在が大きかったから、ここまでやってこれたと思うし、感謝しかない。


私は2人が大好きだった。