落ちこぼれ悪魔の扱い方

「まあでも、いいよ。私を助けてくれるのは神でも仏でもない、ってことが分かったから」

美弥は本殿を振り向き、すうっと息を吸い込んだ。

「聞いてますかー、神様!」

突然の大声に、与崎は驚いているだろうか。

見ていないので分からない。が、与崎の反応などに構ってはいられなかった。

「私を助けてくれたのは、悪魔でした!」

美弥の大声が、誰もいない公園に響く。

辺りは一瞬、水を打ったように静かになった。


思い出したように、木立がざわざわと音を立て始めた。

晴れやかな余韻を聞きながら、美弥は満足した笑顔を浮かべる。


神を呪うわけじゃない。仏を恨むわけでもない。


これはただの、悪魔への賛美だ。


金属の手すりを軋ませながら、滑り台の階段を上る音が聞こえる。

振り返ると、与崎が隣に立っていた。

滑り台は人二人が立つのには少し狭いが、お互い文句は言わない。


与崎は美弥をじっと見て、重々しく口を開く。


「ありがとな、美弥」

美弥は「?」と思いながら、曖昧に頷いた。

お礼を言われる筋合いはない、のだけれど……。

美弥のささやかな困惑をよそに、与崎は「それから……」と一呼吸置いて言った。

「辛かったよな」


耳に溶け込むような、優しい声だった。