落ちこぼれ悪魔の扱い方

「えーっ、知らないってことはないでしょ」

「だって分からねえんだもん、本当に」

与崎はむきになって答える。

「俺は悪魔以外のことは知らねえ。悪魔から解放されたらどうなるのか、それすら分からねえし。……ってか、その質問意味あるか?」

少し気落ちした美弥を見て、与崎は不審そうに尋ねる。


美弥は与崎から目を離す。行き場を失った視線は、自然と空へ吸い寄せられた。

「神様も仏様もいないって断言できたら、それは『真珠の環』に対する報復になるかなと思って」

調べたところ、『真珠の環』は教祖である真名川を預言者とする宗教団体。

信者は真名川の指示を神の意向と信じきっているのだ。


父は神に殺されたと、連中は思い込んでいるに違いない。

だから美弥は、与崎の口から神の存在を否定してもらいたかった。

そして、声を大にして言いたかった。


父を殺したのはイザヤでもエレミヤでもない。ただのペテン師だ、と。


「知らないんだから仕方ねえだろ」という呟きが聞こえる。

美弥は何だか可笑しくなって、空を見上げたまま唇を綻ばせた。