落ちこぼれ悪魔の扱い方


__________


10分ほど歩き続け、美弥はある建物の前で足を止めた。

「ここ、ちょっと寄ってもいい?」

与崎は建物を見上げ……凍りついた。

「お前正気か?」


与崎が疑うのも無理はない。

何せ、目の前にそびえ立つのは石造の鳥居なのだから。

「ここって神社だろ」

与崎は寂れて人気のない神社を一瞥し、咎めるように言う。

「そうだけど?」

美弥も悪びれず、負けじと言い返した。

「廃神社だから、お参りに来る人もいないよ。それに、悪魔が神社に入っちゃいけないって決まりがあるわけじゃないし」

「やっぱりお前、お祓いで俺を追い出そうと……」

「そんなんじゃないってば」

美弥はうんざりして嘆息した。


「てか、悪魔にお祓いって効くの?」

「効かないけど」

与崎は即答する。

「でも悪魔って呼ばれてる以上、神社みたいな場所に入ったら罰当たるんじゃ」

「バチならもう当たってるようなものでしょ。悪魔になってんだから」

いつまでも神社の前で言い合いをしているわけにもいかない。美弥は強引に与崎の手首を掴んだ。

与崎の腕がビクリと跳ね上がる。


少し遅れて、与崎は「ちょっ、お前……」と声を上げた。

「強制連行ね」

「うわっ、お、おい、美弥! 離せっ」

ぎゃあぎゃあ騒ぐ与崎を無視して、美弥は与崎を神社の中まで引きずっていく。

パーカー越しに感じる与崎の手首は、やっぱり細くて骨張っていた。