落ちこぼれ悪魔の扱い方

美弥は一瞬表情を綻ばせたが、思い直して普段の微笑程度に戻しておく。

そもそも与崎を連れ出したのは、与崎に『復讐なんて余裕』ということを分かってもらうため。

決して与崎のためではないのだ。


美弥の気も知らず、与崎は気楽に「でも俺結構焦ったぞ」などと悪態をついている。

「お前、言うことに脈絡がなさすぎんだよ。突然外出ようとか言い出すから、どっか知らない場所まで連れて行かれて置き去りにされるかと思ったわ」

「あんたは犬か」

美弥は突っ込んだが、ふと思い付いて悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「もし本当に置いて行っちゃったら、どうするつもりなの?」

「どうするって……そりゃ、鏡伝って帰るしかないだろ」

美弥は耳を疑った。

今、与崎がさらりと変なことを言ったような気がする。

聞き間違いじゃなければ、鏡を伝うとか何とか……。

「今なんて?」

「だから、鏡伝って帰るしかないって言ったろ」

どうやら聞き間違いではなかったらしい。

どういうことかは分からないが、多分悪魔にとっては常識なのだろう。美弥の知らない悪魔の世界。

「それ、どういう意味? ちゃんと説明してくれる?」

与崎は「仕方ねえな」とため息を吐く。