落ちこぼれ悪魔の扱い方


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外はもう暗くなり始めていた。

茜と藍が混ざり合った空が頭上に広がり、傾いた日が地上にほのかな光を投げかけている。


そんな夕暮れの路地裏を、美弥と与崎は歩いている。

影が痩せた巨人のように伸び、二つ並んでいた。


与崎は結局、美弥のパーカーを着ていた。

しばらくは物珍しそうに辺りをキョロキョロしていたが、次第に飽きてきたようで美弥に話しかけてくる。

「それにしてもお前、どうしていきなり散歩なんて言い出したんだ?」

美弥は足を止めず、「特に意味はないけど」と答える。

「与崎、外出てる形跡なかったから。お昼ご飯代渡してるのに、買い物行かないみたいだし」

与崎は「バレてたか」と肩をすくめる。

「まあ、悪魔に食事は必須じゃねえから」

美弥が目を丸くすると、与崎は「金は後で返すよ」と慌てて付け加える。

「いや、新情報に驚いただけ。お金はいいよ、たった五百円だし」

美弥は答えた。

本当は意地でも取り返したいところだが、ケチな女だと思われたくないのでやめた。


それにしても驚いた。悪魔に食事がいらないとは。

ということはトイレも……と思ったが、さすがにそれは訊けない。


「まあでも、お気遣いどうもな」

与崎は珍しく素直に言う。