「今、同居してる人がいるの」
気付けば、正直な呟きが口から滑り出ていた。
咲子はきょとんと目を瞬かせていたが、次第にその顔が驚愕に染まっていく。
「ちょっと、咲子?」
美弥が恐る恐る声をかけると、咲子はバッと勢いよく顔を上げた。
「同居!?」
咲子の叫び声は保健室内に収まらず、廊下にまで響く。
「ちょっと、静かに。誰か来たらどうするの」
「ごめん、で、で、でも、あまりにも突然っていうか、え、え、誰と?」
咲子は断片のような言葉を飛ばしながら詰め寄ってくる。
美弥は後ずさりながら、「えーっと……親戚のお姉さん」と出任せを言った。
「出張でうちの近くに来ることになって、しばらく同居することになったんだ」
「あ、そういうこと。……でも大丈夫? いきなり同居なんて、ストレス溜まらない?」
咲子は心配そうな顔をしているが、今までのような深刻そうなものではない。
せいぜい、ちょっと気になる程度のもの。
今度こそ完全に信じ込ませられたみたいだ。
嘘に少し真実を混ぜるとバレにくいって、本当のことだったのか。

