落ちこぼれ悪魔の扱い方

咲子はハッとしたような表情で口許を押さえる。

「ごめん、私、こんなこと言うつもりじゃ……」

「いやいや、全然いいよ。私が話さないのも良くなかったよね」

美弥の胸は申し訳なさでいっぱいだった。

知らず知らずのうちに咲子を傷付けていたことに、ようやく気付いたからだ。


本当に、自分の鈍感さが嫌になる。

……まあ、人と関わらなかったツケが来たのだろう。


父を失ってから、周囲の大人、とりわけ学校関係者は、やたらと自分に干渉しようとしてきた。

カウンセラーの手配やフリースクールの案内など、親戚がやってくれなかった分まで。


それはありがたい反面、悲しかった。

『前原美弥は普通の子じゃない』と、仄めかされているような気がしたからだ。


普通の子でいるために、美弥はありとあらゆる援助、そしてそれに附随する人間を拒絶するしかなかった。

過干渉な人たちを表情でねじ伏せ、必要以上には近づけさせない。

そんなことを三年間続けていた美弥は、他者の気持ちに気付くのが人一倍遅い。

余計な関わりを絶ったことが、完全に裏目に出たのだ。


だから咲子が密かに傷付いていたことも、分からなかった。

でも今なら分かる。

小学校から一緒だった友だちに隠し事をされたら、そりゃ辛いだろう。