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物思いに耽っていると、時間の流れは早い。
だから今日はあっという間に学校が終わってしまった。
「今日は早く帰るから」と言って咲子と別れ、帰路を急ぐ。
家に着くと美弥は玄関の鍵を開け、「ただいまー」と呟いた。
「……ああ、帰ってきたのか」
父の部屋から、与崎の疲れたような声が聞こえてきた。
美弥は弾けるような笑みを浮かべる。
「ただいま!」
「聞こえてるって。何回も言うなよ」
そう毒づきつつ、与崎が廊下の奥から上半身を覗かせた。
朝見た時と同じ、ぶかぶかのジャージ姿だ。
……服買ってくるの忘れてた。
「ごめん、明日何か着られるもの買ってくるから」
「いや別にいい。父親の服いくつか洗濯させてもらったし、それ着るよ。……それより美弥、ちょっと来てくれねえか?」
与崎に言われ、美弥は慌てて「あ、うん」と与崎の後を追いかける。
「何かあったの?」
「部屋の掃除してたんだけどさあ」
そう言って与崎は部屋のドアを開ける。

