「なあ、美弥」
美弥は虚を突かれて一瞬固まりつつ、「えーっと、何?」と答える。
「俺の……いや、お前の父親の部屋にあるものって、全部父親の遺品なのか?」
「もちろん。全部遺品だよ」
父の部屋にあるのは資料や本だけではない。
父が趣味で集めていた、気味の悪い骨董品なんかも置かれているのだ。
本当は美弥も物置代わりに使ってはいたが、そういったものを美弥の私物だと思われたくない。
「お前のものは一切ないのか?」
「一切ないよ」
「本当か?」
「本当だって。あんな趣味が悪いもの、私が集めるわけないでしょ」
「……。じゃ、これもかよ」
与崎が言いにくそうに取り出したのは、ピンクのネグリジェだった。
「!!!」
美弥は絶句した。
それは確かに、美弥が昔親戚からもらったものだ。
サイズは申し分なかったのだが、デザインが明らかに幼児向け。
レースとフリルとリボンが多すぎて何となく気恥ずかしくなってしまい、結局着られなかったのだ。
……けれど、今見てもやっぱり趣味が悪い。
自分の私物だと思われたくないような代物である。
美弥は虚を突かれて一瞬固まりつつ、「えーっと、何?」と答える。
「俺の……いや、お前の父親の部屋にあるものって、全部父親の遺品なのか?」
「もちろん。全部遺品だよ」
父の部屋にあるのは資料や本だけではない。
父が趣味で集めていた、気味の悪い骨董品なんかも置かれているのだ。
本当は美弥も物置代わりに使ってはいたが、そういったものを美弥の私物だと思われたくない。
「お前のものは一切ないのか?」
「一切ないよ」
「本当か?」
「本当だって。あんな趣味が悪いもの、私が集めるわけないでしょ」
「……。じゃ、これもかよ」
与崎が言いにくそうに取り出したのは、ピンクのネグリジェだった。
「!!!」
美弥は絶句した。
それは確かに、美弥が昔親戚からもらったものだ。
サイズは申し分なかったのだが、デザインが明らかに幼児向け。
レースとフリルとリボンが多すぎて何となく気恥ずかしくなってしまい、結局着られなかったのだ。
……けれど、今見てもやっぱり趣味が悪い。
自分の私物だと思われたくないような代物である。

