落ちこぼれ悪魔の扱い方

不便がないように、風呂とトイレを含めた大体の家の設備は使用許可を与えてある。


……そういえば替えの服も必要だったか。盲点だった。

まあ、学校帰りに何か着られるものを買ってきてあげるとしよう。

「それよりスーツは? 制服なんじゃないの?」

「一応制服だけど、住み込みの時は他の服着ても問題ないから。あんなの毎日着てられるか」

「それもそうだね」

与崎は頷いたが、テレビに視線を戻すでもなく美弥を見ている。

美弥はとりあえず愛想笑いを浮かべた。


これ以上どう話を続けろというのだろう。


重い沈黙の中、ニュースキャスターの平坦な声だけがリビングに響く。

同居人、ってどういう距離感かよく分からないが、何となく気まずい。

昨日は気兼ねすることなく話せたけれど……。

沈黙に耐えかねた美弥は、思わず席を立った。

「わ、私、朝ご飯つくって来るから」

キッチンに向かおうとした時、後ろから与崎が声をかけてきた。