翌朝。いつもより早く目が覚めた美弥は、ベッドの中でぼんやりと昨日の出来事を思い出していた。
悪魔を呼び出し、夕食を振る舞い、成り行きで同居まで持っていってしまった。
どう考えても異常すぎる。
特に同居。
深夜のテンションで押し切ってしまったものの、改めて考えると正気の沙汰ではない。
美弥はスマホで通販サイトを開き、『全身鏡 安い』と検索しながら気だるげにため息を吐いた。
「鏡来るまでこの生活なんだよね……結構不安だなあ」
とはいえ、半ば美弥が強要したようなもの。
今さら「やっぱ帰って」とは言えないのだが、美弥は三年間一人暮らしだ。
突然始まった同居生活に順応できるのかは、自分でも分からない。
……分からないけれど、多分無理だと思う。
「よく考えてから行動する癖をつけなきゃなあ」
独りごちながら、美弥は部屋のドアを一瞥する。
与崎は、もう起きているのだろうか。
スマホに目を戻すと、いつの間にか起床時間が来てしまっていた。
美弥は一瞬躊躇したが、迷いを断ち切るように首を振ってベッドから起き上がる。
「まあ、上手くやるしかないか」
美弥は洗面所で顔を洗い、一度部屋に戻って制服に着替えると意を決してリビングへ向かった。