落ちこぼれ悪魔の扱い方

だとしても、いつまで悩むつもりなんだ、こいつは。帰れないなら仕方ないじゃないか。

そんなに私が嫌か。


与崎の優柔不断さに、段々苛ついてきた。

美弥は張り付けていた笑みを消し、真顔でじっと与崎を見つめる。


美弥の視線に気付いた与崎は、気圧されたのか、ほんの一瞬全身を硬直させた。 


そんな与崎にはお構いなく、美弥は一語一語はっきり区切りながら確認する。

「うちに泊まる、ってことで、いいよね?」

与崎は黙っている。

「新しい鏡、注文しとくから」

美弥が付け加えても、与崎はまだ口を開かない。

部屋に満ちた沈黙の中で、ただ居心地が悪そうに佇んでいる。


美弥がしびれを切らしそうになってやっと、与崎は渋々と言った様子で頷いた。

「鏡が届くまでの間だけ、な」

やっと分かってくれたのかと美弥は安堵したが、同時に怒りも覚えた。

もっと早く言えよ。