落ちこぼれ悪魔の扱い方

「とにかく、鏡が破裂すると困るんだけど。また破片散らばると面倒だし、第一危ないでしょ」

「それもそうだな。じゃ、他に鏡あるか?」

「他のでもいいの?」

「ああ。布かけられる場所があれば」

「鏡台があるよ」

美弥が言うと、与崎は「リビングのやつだろ? あんなんじゃまだ小さい」と一蹴した。

「他にねえの?」

「お風呂場と洗面所にあるけど、どっちも壁に埋め込まれてるから布はかけられないかな」

与崎は「マジかよ……」と頭を抱えた。

「じゃ、あれだな。公園に野宿とか」

「そんな格好でそれやったら通報されるって」

美弥は呆れてそう言った。

「ねえ、うち泊まってかない? 親父の部屋なら空いてるよ?」

与崎は「いや、でもなぁ……」と言いかけてそのまま固まってしまった。

悩んでいるのがよく分かる。

美弥に遠慮していることも。