落ちこぼれ悪魔の扱い方

「ってか、お前はどうして仇を討ちたいんだ? 父親のためか、自分のためか。どっちだ?」

「それは……。もちろん、親父のためだよ」

「それなら直接殺したいよなあ」

美弥は曖昧に頷いた。

与崎は腕組みして「でも、俺としては反対だな」と一蹴した。

分かってもらえるかも、と少し期待していたのに。

「第一お前、それで幸せになんの?」

「当たり前でしょ。親父の仇が討てるんだから」

「悪魔になるとしてもか? お前みたいな人間は、簡単には解放されないと思うぞ」

「なんか貶されてる気分……」

美弥は机の上のスプーンを弄び、「って、いうか」とモノローグを語るように話し出す。

「ここまで来たら死後のことなんて考えてらんないよ。『真珠の環』とかいうカルト教団に親父殺されて、私も何回か殺されかけて、こんなんでこの先平穏に暮らせるかっての」

美弥は叩きつけるように言い、与崎の視線に気付くと慌てて笑顔を浮かべた。


感情を露呈することは、時として人の弱味になる。特に、怒りは。

それを心得ているので美弥は人前であまり表情を変えず、だいたいは笑顔でいる。

友人の前ですらそうだ。

完全に信頼しているわけではない与崎に対してはなおさら、表情を崩すわけにはいかない。