落ちこぼれ悪魔の扱い方

「まあ、いいんじゃない。その後悪魔になるって話は、もう知ってるんだよね? じゃあ好きにすれば」

自分には関係ないとばかりに、灰田は言葉を投げかけてくる。

美弥は苛つきながら、「好きにすれば、じゃなくて!」と勢い込んで言う。

「それをあんたじゃなくて、与崎に手伝ってほしいの! あんたより真剣に私の話を聞いてくれてたし、せっかくここまで仲良くなったのに」

「面倒なこと言わないでよ。どんなにごねたって、もう美弥ちゃんは先輩に会えないんだから」

もう会えない。

この無慈悲な言葉は、美弥の胸を深々と抉った。


「……冷たいね。与崎とは大違い」

「僕は普通だからね? 先輩が優しすぎるってだけで。甘やかされるのに慣れちゃダメだよ、美弥ちゃん」

美弥は灰田を睨んだ。

表情のコントロールも忘れ、美弥は怒りのままに語調を荒らげる。

「とにかく、あんたには任せられない。帰って」

「りょうかーい。契約破棄するなら早めに言ってね、僕も暇じゃないんだから」


灰田はあっさりと鏡の向こうへ帰ってしまった。

美弥の反応など意に介していないようで、どんなにキレてものれんに腕押しだ。

本当に、ムカついてくる。


美弥は少し考え、鏡にかけられた黒い布を撤去した。


いつの間にか裂かれていた布。おそらく与崎の仕業だろう。

引き継ぎとやらのために、きっと与崎が勝手に儀式を行ったのだ。


でも、あいつには自由に家に出入りしてほしくない。

学校から帰ってきた美弥を灰田がベッドに腰かけて待っていたらと思うと、寒気がした。